家庭用の味噌仕込み容器『クラフト木桶』の開発でもお世話になっている久田さんの工房へ、蔵人を連れて樽や桶について勉強に行ってきました。
普段味噌屋として使う木桶は大桶と呼ばれる大きなサイズで日本から残念ながらこのサイズを作る職人さんはいなくなりました。
とはいっても、もう少し小さいサイズの桶や樽を作る職人はまだ全国に残っており今回お伺いした樽藤さんも前の師匠の時代から長年桝塚味噌がお世話になっています。
今回は少し用事があったので蔵人を連れて工房にお伺いし、色々勉強させていただきました。
せっかくので学んだ事の中で皆さんにも役立つかもしれない部分だけまとめます。
樽と桶の違い
普段「樽」や「桶」という言葉はけっこう曖昧に使われています。
味噌桶?味噌樽?
現在は明確に使い分ける事はあまり無いですが、私たちは道具としても使っているものなので少しでも正確に・・・
基本的には以下の2つの要素で呼び分けられる事が多いです。
- 構造上の違い-固定された蓋があるかないか?
蓋で閉じられたもの=『樽』*保存、運搬用で蓋をする事が多いですね
→日本酒樽、ワイン樽は蓋がありますね蓋で閉じられていないもの=『桶』
→ふろ桶、すし桶は蓋がありません - 製法上の違い-底が入る付近から大きくカーブがかかっているかどうか?
大きくカーブがある(曲線のフォルム)=『樽』
→ワイン樽って外側がカーブしてるイメージありますよね同じ割合ですぼまっている(直線的なフォルム)=『桶』
→味噌桶とか大きなカーブは無くすぼまっている感じ
上記2つは形や見た目で判断できる部分なのでわかりやすいです
用途で違う木材の使い方
樽や桶を使ったり買う時に実は一番気を付けないといけないのは実は木材の取り方です。
木材はなんとなく製材しているわけではなく、目的や用途によって丸太から製材する時の取り方がかわります。
大きく分けて2通りの木材の取り方があります。
柾目(まさめ):木材の長い辺に対して年輪が垂直になるようにとった木材
板目(いため):木材の長い辺に対して年輪が平行になるようにとった木材
実はそれぞれ桶や樽にした時に出る特徴が違うので用途によって使われる木材が違います。
柾目を使用した樽や桶
→水分を容器の中から逃がしてあげる事ができ、寿司桶やおひつなどでご飯を長く美味しく食べるために使われる
→外側に年輪が縦に入る点など見た目的な要素で工芸品などに使われる
板目を使用した樽や桶
→水分が外に漏れる事が少なく、密閉性が高いので味噌・醤油・酒などの熟成容器に使われる
→年輪が平行に入っている数によって固体(みそ)、半液体(醤油)、液体(酒)など中身を入れ分ける事も
つまり呼び方が樽なのか桶なのかは別にして用途や目的によって材質が違う!という事です。
ここは非常に重要なポイントなので樽や桶などの購入を考えている方はしっかり認識した方がいいです。