味噌の熟成時に「重し乗せて下さい」とか、「乗せなくてもいいです」とか人によって、味噌の種類や仕込みの量によって説明が違うと思います。
私が開催している教室では、基本的には乗せて下さいと伝えています。
ただ最初に言っておくと、状況によっては重しは乗せなくても味噌は出来ます。
では今回は聞かれる事が多い、「なぜ重しを乗せるのか?」「どれぐらいの重さが適切なのか?」を解説していきたいと思います。
なぜ重しが必要なのか?
まず基本的に重しが必要な理由は大きく分けて2つ!
①発酵や熟成を均一に進める
②表面のカビなどの繁殖を防ぐ
①水分を全体に行き渡らせる
重しが無い状態だと、水分は容器の下に集まっていきます。
つまり容器の中で上部と下部で水分量が一定では無い状況が生まれて、発酵や熟成にムラが出てきてしまいます。
重しをすると、上から圧力がかかり水分が上部にも上がっていきます。
つまり全体の水分が均一になり発酵や熟成のムラが少なくなります。
②表面のカビなどの繁殖防ぐ
重しをかける事で、水分が上にも上がると味噌の表面に「みそだまり」という液体の層が少しできます。
そしてこのみそだまりが味噌と空気の間に入り空気を遮断し、悪いカビの繁殖を防ぐ役目を担ってくれます。
つまり意図的に味噌と空気の間にカビの防護壁を作っています。
*みその種類や配合による注意点
みその種類によって基本の重しの重さは違います。
仕込みの配合によっても前後するので、参考程度ですが
「米みそ・麦みそ」=全体の重さの10~25%前後
「豆みそ」=全体の重さの50%前後
を目安にして下さい。
ここで注意点としては、味噌は「原料の配合比」によって元々持っている水分量がかなり違います。
つまり一概にこの量の味噌ならこの重さの重しみたいな正解はありません。
仕込む人の配合によっても大きく変わる可能性があるので、配合を決めた人に確認した方が無難です。
あとは実際に重しを乗せてみて、みその表面に溜まる「みそだまり」で微調整をしてみましょう。
重しの調整するならみそだまりを確認
重しを乗せてみそを熟成させていると、窪みや縁に液体が溜まってきます。
これが「みそだまり」と呼ばれる、みその旨みが入った液体です。
いっぱい出ていればいいという事では無く、ほどほどが重要です。
ほどほどって難しいですよねw
表面が完全に水没するぐらい「みそだまり」が出来ている場合
上記の画像のように完全に液体が溜まってしまっている場合は、少し重しが重いので、少し軽くしてあげて下さい。
*重しを調整する際、一回液体が中に引くまで少し時間をおいてから再度重しをするのがオススメ!
このみそだまりは、みその旨みでもあるので出過ぎると味噌の味にも影響が出てしまいます。
目安としては、表面にうっすら液体が溜まっている状態って感じです。
*季節や熟成環境の温度などによって出ずらい、出やすいってのも変わりますのでご注意下さい(基本的に暖かいと出やすく、寒いと出ずらい)
伝統製法の豆みそは「みそだまり」が出ずらい
豆みそは、仕込みの状態から水分が少なめで固めに仕上げる熟成型の味噌で元々の水分が少ないので非常に出ずらいです。
桝塚味噌の大きな木桶(高さ・直径3mぐらい)で12トン味噌を仕込んでも出てくるみそだまりの量は40Lぐらい(全体の約0.3%)。
私がやる教室だと2kgとか4kgなのでそこから考えると、実際はほとんど出ないと思います。
*出なくても問題無いです
まとめ
①重しの役割は「発酵・熟成の均一化」「防カビ」
②重しの重さは「みそだまり」出方を見て調整
③「豆みそ」は出なくても問題ナシ
優先順位としては、「発酵・熟成の均一化」が一番重要です。
「みそだまり」は出すぎの場合に注意してもらえれば大丈夫!
ぜひ美味しいお味噌を育てて下さいね。
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